「聞く」は「受けとめる」

こんにちは。『自分のかたち』親業インストラクターの芹澤芳美です。広島を中心に、子どもにイライラしなくなるコミュニケーション、自己理解が深まるコミュニケーションをお伝えしています。
今日は「聞く」ということについて考えてみます。
あなたは普段、子どもの話を聞いていますか?朝は出勤で忙しく、夜はお迎えに夕飯、お風呂でクタクタ、なかなか子どもの話をゆっくり聞けないという方も多いのではないでしょうか。一方で、ちゃんと時間をとって話を聞いているよ、という方もいらっしゃるかもしれません。
話を「聞く」とはどういうことでしょう?私の体験を例に、考えていきます。
私は昔から美容院に行く時間を大切にしています。髪を切ると気分転換になり、気持ちがリセットされるからです。それにシャンプーの時のマッサージが気持ちよくて、とてもリラックスできる時間でもあります。
ある年末のことです。私は一年頑張った自分へのご褒美にと、美容院でいつもよりちょっと奮発してカットカラーにヘッドマッサージとトリートメントが付いたメニューを予約しました。
予約当日、とても楽しみに美容院に向かいました。カットカラーが終わり、洗髪とトリートメントに加えマッサージが始まり、私はとても楽しみな気持ちでした。
ところがその時、他のお客さんの声が聞こえてきました。その方は、美容師さんに仕事の愚痴を話されていました。大きなお店ではないので、声も話の内容もはっきりと聞こえてきます。ヘッドマッサージをしてもらっている間中、愚痴が大きな声で聞こえてきて、私はほとんどリラックスできませんでした。
美容院でリラックスできる時間を楽しみにしていた私は、とても残念な気持ちでした。(マッサージはとっても気持ちよかったです!)

その日家に帰ってから、私は夫にそのことを話しました。
「今日ね、美容院でずーっと他のお客さんの愚痴が聞こえてきてね。リラックスしたかったのにできなくて、すごい残念だったのよ。」
すると夫はこう言いました。
「そのお客さんも、たまの美容院で話聞いてもらうのを楽しみにしてたのかもよ。」と。
そうじゃなーい!!
夫の言うことは最もです。
私も、そのお客さんが普段は言えない愚痴を、美容院で話すことで気分転換されていたのかもしれないな、と思います。その方も、美容院で話すことを楽しみにされていたのかもしれません。それは私にも分かっています。
私はただ、「楽しみにしていたのに残念だった」という気持ちを夫に分かって欲しかっただけなのです。
「ガッカリしたんだね」 「残念だったんだね」ただそれだけで良かったのです。
夫は、私が投げた白いボールを受けとめずに、違う赤いボールを投げてきました。私は自分のボールを無視されて、とてもモヤモヤしました。夫の投げてきた赤いボールを受けとる気になどなれなくて、「話さなきゃとかった」と、話したことで余計にもやもやした気持ちになりました。
私は、ただ私の投げた白いボールをキャッチして、そのまま投げ返してくれるだけでよかったのです。
「聞く」ことは「受けとめること」だと実感した出来事でした。
私と夫の例からも分かるように、聞き手は聞いているつもりでも、話し手は「分かってもらえない」「聞いてもらえていない」と感じているということは、実はよくあリます。
一生懸命聞いているつもりでも、相手にそれが伝わっていないとすれば、それはとても残念なことです。

「聞く」とは、相手の気持ちを受けとめることです。
そして、その受けとめた気持ちを「こういう気持ちだったんだね」と共感を持って送り返してみます。すると、「聞いている」ことがより伝わります。場合によっては、黙ってその気持ちを受けとめるだけでもいいのです。まずはしっかり受けとめる。
受けとめていることが伝わって、はじめて聞いていることが伝わります。
残念ながら私たちは、学校で「聞き方」を学ぶ機会はあまりありません。
けれど、「聞き方」は人とコミュニケーションをとるうえでとても重要な技術です。親子だけでなく、パートナーやまわりの人とコミュニケーションがうまくいかないな、と感じる時は、「聞き方」を見直してみるといいかもしれません。

